ヴィダル・サスーンの大革命
この時代、女性のヘアスタイルにも革命が起きました。
その革命の指導者となったのが、ヴィダル・サスーンです。
サスーンは、それまでの女性のヘアスタイルの概念を覆し、次々と新しいヘアスタイルを提案し、旋風を巻き起こしました。
サスーンが自分の店を構えたのは1954年のことですが、60年代に入り、その名がスウィンギング・ロンドンを代表するカリスマ美容師として知れ渡ることになります。
サスーンが提案したスタイルは、究極のモダニズムです。
直線的に切り揃えられたボブスタイルも、元々彼が始めたものです。
また、「ファイブ・ポイント」や「ウォッシュ and ウェアパーマ」などの現在まで人気のあるヘアスタイルを世に送り出し、それまでの「ヘア・ドレッサー」という職業を「ヘア・デザイナー」に置き換えるくらいの影響力を持ちました。
最も大きなチャンスが訪れたのは、1964年のことです。
その年にはマリー・クワントとタッグを組み、彼女のヘアスタイルを担当し、彼女そのものをファッション・アイコンに変身させました。
更に同年、モデルのツィギーとも出会い、ツィギーのスタイルを担当し、後に彼女はブレイクすることになります。
マリーとツィギーの究極のモダニズムをサスーンが築いたことで、彼は60年代のファッション文化そのものを制覇しました。
サスーンなくしてロンドンの60年代を語るのは、恐らく不可能でしょう。